そもそも「リワーク」とは、英語の「return to work(仕事に戻る)」に由来する言葉です。

このコラムでは、精神科で心理職として医療リワークに携わってきた経験から、リワークプログラムで実際に行っていることをお伝えします。

なお、ここでご紹介する内容は、私が所属する医療機関でのリワークプログラムに基づくものです。プログラムの内容や進め方は実施機関によって差がありますので、その点はご了承ください。

リワークの目的

医療リワークの目的は、ひとことで言えば「利用者が働き続けられるようになること」です。

一度休職を経験すると、「また同じことが起きるのではないか」という不安を抱えたまま復職する方も少なくありません。リワークが目指しているのは、単に職場に戻ることではなく、戻った後も無理なく働き続けられる状態をつくることです。

実際、メンタルヘルス不調による休職から、特に対策をしないまま復職した場合、5年以内に約半数(47.1%)が再休職するというデータがあります*1。一方で、リワークプログラムを利用して復職した方は、復職後1000日の時点で約7割が就労を継続できているのに対し、利用しなかった方では約2割にとどまるという報告もあります*2。数字だけがすべてではありませんが、リワークを利用することが、働き続けられる可能性を大きく引き上げてくれることは、知っておいていただきたいと思います。

そのために、プログラムでは次のようなことに取り組んでいます。

そして、同じように休職を経験している利用者同士が自然とつながっていくことも、通所を続けるなかで起きる大切な変化のひとつです。「自分だけじゃなかった」と気づくことで、休職中の孤独感が和らいでいく方も多くいらっしゃいます。


一日の流れ

実際に、私が携わっているリワークプログラムでの一日の流れをご紹介します。

朝はラジオ体操から始まります。当たり前のように思えるかもしれませんが、休職中は「決まった時間に起きて、決まった場所へ行く」という生活そのものが難しくなっていることが少なくありません。毎日同じリズムで通所すること自体が、すでにリハビリテーションの一部になっています。

面談では、その日の体調や気づきを一対一で振り返ります。午前・午後それぞれにプログラムが組まれており、一日を通して通所することで、復職後の勤務時間に近いリズムへ少しずつ体を慣らしていきます。


プログラム内容

一日のなかで取り組むプログラムは、主に次のようなものです。

それぞれを単独で行うのではなく、組み合わせながら「自分の崩れ方のパターン」を理解し、「次は同じことを繰り返さないための対策」を一緒に考えていきます。


どんな人が多い?

通っている方は約20名、年代は幅広く、特定の世代に偏ってはいません。

職種も様々で、これまで医師、看護師、薬剤師、保健師、保育士、教師、公務員(国家・地方)、警察官、自衛官、大企業にお勤めの方(メーカー、金融など)、その他の専門職の方など、多くの職種の方をサポートしてきました。

共通しているのは、「休職制度がある」ということです。多くの方は、主治医や産業医からの紹介でつながります。


利用するメリット・デメリット

メリット

知っておいていただきたいこと

Summary

最後に

医療リワークは、「治す場所」というより、「整え、備える場所」です。

一人で抱え込まず、同じように休職を経験している人たちと一緒に、自分のペースで取り組める場所として、気になる方はまずは主治医や産業医に相談してみることをお勧めします。

参考文献

  1. 厚生労働省「主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究」(平成28年度 労災疾病臨床研究事業費補助金)。対策をせずに復職した場合、5年以内の再休職率は47.1%と報告されている。
  2. 日本産業精神保健学会「第19回日本産業精神保健学会」特集(2012年, Vol.20, No.4, 335-349頁)。リワークプログラム利用者は復職後1000日時点での就労継続率が約7割であったのに対し、未利用者は約2割にとどまったと報告されている。

笹森 千佳歩

公認心理師・臨床心理士 / sasafune カウンセリングルーム

医療機関で約10年、休職・復職支援に携わる。再発予防を専門とし、一人ひとりの経験を丁寧に紡ぎ直すカウンセリングを行っています。