「また朝、起き上がれなくなったらどうしよう」
「以前と同じ働き方に、知らないうちに戻ってしまうかもしれない」
「今度崩れたら、もう戻れない気がする」
復職が決まったとき、あるいは復職して数週間が経ったとき、こうした不安が頭をよぎることがあります。
「やっと戻れた」という安堵と、
「また崩れたらどうしよう」という緊張が、
同時に存在している。そんな状態です。
復職できても、不安がなくなるわけではない
復職は、ひとつのゴールのように見えます。
けれど実際に働きはじめてみると、不安が消えているわけではないことに気づく方が多くいます。
「また朝起きられなくなったら」
「以前と同じ働き方に、知らないうちに戻ってしまったら」
「今度こそ、周りに迷惑をかけてしまうのではないか」
こうした不安は、復職の準備が足りなかった証拠ではありません。
むしろ、一度苦しい経験をした人が、同じ苦しさをくり返したくないと願っているからこそ生まれる、自然な反応です。
「二度と休職しない」を目標にすると苦しくなることがある
復職後、多くの方が「もう二度と休まない」という強い決意を持たれます。
その気持ち自体は、よくわかります。
ただ、この目標には、ひとつ落とし穴があります。
「絶対に崩れてはいけない」と考えるほど、
体調のわずかな変化にも敏感になり、
それ自体がさらなる緊張を生んでしまうことがあるからです。
厚生労働省の追跡調査では、休職を経験した方のおよそ47.1%が、5年以内に再び休職を経験しているというデータもあります。
これは、再発を完全にゼロにすることを目標にするのは、あまり現実的ではないということでもあります。
大切なのは、0か100かで考えないことです。
「絶対に崩れない自分」を目指すのではなく、
「多少揺れても、大きく崩れる前に立て直せる自分」を目指す。
そのほうが、結果として長く働き続けられることが多いのです。
大切なのは「崩れないこと」より「早く気づけること」
体調が崩れるとき、多くの場合、ある日突然というより、
小さなサインが少しずつ積み重なっています。
- 眠りが浅くなる、あるいは寝つきが悪くなる。
- 疲れが週末をはさんでも回復しなくなる。
- 自分を責める言葉が、頭の中で増えてくる。
- 残業や持ち帰りの仕事が、少しずつ増えている。
- 誰かに相談することが、減っている。
- 以前は楽しめていたことに、関心が向かなくなる。
これらのサインは、人によって順番も出方も異なります。
だからこそ、「自分がどんなふうに崩れていくタイプなのか」を、
あらかじめ知っておくことが役に立ちます。
サインに早く気づければ、対処もそれだけ小さくて済みます。
反対に、気づかないまま働き続けてしまうと、
立て直すために必要な休養も、それだけ大きくなってしまいます。
復職後の「自分の取扱説明書」をつくる
カウンセリングでは、こうした自分なりの崩れ方を、
ひとつずつ言葉にしていく作業を行います。
- 自分にとっての「黄色信号」は何か。
- 黄色信号が出たとき、まず何を減らすか。
- 誰に、どんなふうに相談するか。
- 信号が出た日は、仕事のあとどう過ごすか。
これは、いわば「自分の取扱説明書」をつくる作業です。
崩れてから慌てて対処するのではなく、
崩れる前に、何をすればよいかをあらかじめ決めておく。
取扱説明書があれば、
信号に気づいたときに「どうしよう」と立ち止まる時間が減ります。
それだけで、大きく崩れる前に立て直せる可能性は変わってきます。
復職はゴールではなく、その後の働き方をつくるスタート
復職したあとの過ごし方が、
その後、長く働き続けられるかどうかを大きく左右します。
復職は、休職前の自分に戻ることではありません。
そして、二度と崩れない自分になることでもありません。
崩れそうになったときに、早く気づき、早く手を打てる自分を、
少しずつつくっていくことです。
sasafuneでは、復職後の不安そのものを扱うだけでなく、
あなたなりの「黄色信号」や、そのときの対処法を、
一緒に言葉にしていくお手伝いをしています。
復職して終わりではなく、そこからの働き方を、一緒に考えていけたらと思います。