復職してからの話は、
どうしても勤務時間の話が
中心になります。
- 残業をしない。
- 業務量を減らしてもらう。
- しばらくは短時間(時短勤務)。
どれも再発を防ぎ、
慣らしていく上で、
大切なことです。
けれど、
実際に心身の消耗が表れやすいのは、
その外側(プライベート)の
時間かもしれません。
誰も見ていない時間のこと
会社から見えるのは、
おもに勤務時間の中のことです。
だから職場での配慮も、
勤務時間を中心に設計されます。
時間。
業務内容。
部署。
調整できるのは、
職場から見えやすい範囲のことです。
けれど、
帰りの電車で、
今日の出来事を
何度も思い返している時間。
家に着いて、
上着も脱がずに座り込んでしまう時間。
ベッドに入ってから、
明日のことを考え続けてしまう時間。
そうした時間は、
誰にも見えません。
消耗が起きている場所。
その二つは、
少しずれていることがあります。
見えにくい時間のことは、
支援の中にも取り入れにくい。
そういう構造があるのだと思います。
だから勤務時間外については、
自分で気づき、
整えていく部分が、
どうしても大きくなります。
復職してからの日々は、
帰り道に。
家に帰ってから。
寝る前。
休日。
「今日はここまでにする」
「少し休もう」
「明日は明日考えよう」
そうやって、
毎日少しずつ
自分と相談していくことになります。
職場の配慮は、少しずつ日常に戻っていく
復職直後は、
周囲も配慮を意識しています。
けれど時間が経つにつれて、
少しずつ日常が戻ってきます。
誰かが約束を破るわけではありません。
ただ、
復職した頃の事情は、
日々の仕事の中で少しずつ
意識されにくくなっていきます。
周囲から見れば、
「もう戻った人」に見える。
けれど本人の回復は、
まだ途中にあることも
少なくありません。
だからこそ、
職場の配慮が日常に溶け込んだあとも、
自分との交渉は続いていきます。
相手が自分だと、押し切れてしまう
交渉というのは、
相手がいるから成り立ちます。
会社との調整なら、
無理を言えば、
相手にも事情があります。
だから、
どこかで折り合いを
つけることになります。
けれど、
自分との交渉には、
それがありません。
無理を言っても、
誰も止めません。
だから、押し切れてしまいます。
そして、
押し切ったことにも
気づきにくいです。
そのとき、
心の中にはこんな言葉があります。
「まだやれる。」
「もう無理だ」と気づければ、
止まることを考えられます。
けれど、
止まりどきを見えにくくするのは、
「まだやれる」のほうです。
しかも、その判断は
間違っていないことがあります。
その日は。
だからこそ、
気づきにくいのだと思います。
勤務時間の中と外は、つながっています
勤務時間の中と外は、
別々のもののように見えます。
けれど、つながっています。
帰り道で、
今日の出来事を
何度も思い返してしまう日は、
仕事の中で、
何かを抱えた日なのかもしれません。
家に帰って、
何もできずに座り込んでしまう日は、
仕事の中で、
思っている以上に
力を使った日なのかもしれません。
勤務時間の外で起きていることは、
勤務時間の中で起きたことを
教えてくれることがあります。
だから、
外側で起きた変化は、
大切なサインでもあります。
崩れは、情報です
セルフケアが続かない日があります。
決めていたことが、
できない日があります。
そんな日を、
「自分はダメだ」と片づけてしまうと、
そこで終わってしまいます。
こころの崩れは、
自分との交渉が
ちょっとだけ
うまくいかなかった記録です。
それは、
自分が弱かったという意味では
ありません。
その日の自分には、
それまでのやり方では
支えきれなかった。
そのことを教えてくれている記録です。
だから、
崩れを責めるより、
「今週は何が重かったのだろう」
そう考えられるほうが、
次の再発予防につながります。
休職中のセルフケアは、そのままでは続きにくい
休職中は、時間があります。
散歩。
丁寧な食事。
日記を書く時間。
けれど働き始めると、
前提が変わります。
時間も違う。
余力も違う。
だから、
同じ形のまま続けることが
難しくなる人も少なくありません。
続かないのは、
生活そのものが変わったからです。
だから、
働き始めてからのセルフケアは、
もっと小さくていいのかもしれません。
手軽であることは、
妥協ではありません。
続けるための条件なのだと思います。
まず、押し切っている場所を探す
セルフケアを増やす前に、
どこで自分を押し切っているのか。
そこを探してみることを
おすすめします。
朝なのか。
昼休みなのか。
帰り道なのか。
家に帰ってからなのか。
寝る前なのか。
休日なのか。
人によって違います。
場所やタイミングが分かれば、
工夫も小さくて済みます。
やめることより、
場所を変えること。
我慢することより、
少し区切ること。
そんな小さな調整が、
案外長く続きます。
おわりに
勤務時間の配慮は、
少しずつ日常に
溶け込んでいきます。
そのあとも残るのは、
誰も見ていない時間の
過ごし方です。
そこでは、毎日少しずつ、
自分との交渉が続いていきます。
「まだやれる」と言っているのは、
今の自分でしょうか。
それとも、
以前のように働かなければならない
という焦りや、
周囲を安心させたいという
気持ちでしょうか。
すぐに答えが出なくても構いません。
まずは、
その声がどこから来ているのか。
少しだけ耳を傾けてみてください。
そして、
自分との交渉は、
自分一人で抱えるという意味では
ありません。
一人では読みにくい崩れ方も、
誰かと一緒に振り返ることで、
初めて見えてくることがあります。
セルフケアは、
一人で頑張る技術ではなく、
自分を理解し、
自分を支えるための時間なのだと、
私は思っています。
複数の方との関わりから見えてきたことを
一般化して書いています。
特定の方の相談内容にもとづくものではありません。
また、体調やお薬に関わることは、
主治医にご相談ください。