はたらき方を考える

人に頼れない・仕事を抱え込んでしまう方へ 「自分でやった方が早い」ことで苦しくなるとき

sasafune カウンセリングルーム

こうしたことに心当たりはありませんか。

人に頼れないことや、仕事を抱え込んでしまうことは、単に「コミュニケーションが苦手だから」とは限りません。

むしろ、責任感が強い人、周囲の様子・困りごとによく気がつく人、これまで自分でなんとかしてきた人ほど、知らないうちに抱え込みやすくなることがあります。

そして厄介なのは、抱え込むことが仕事では評価されることもあるということです。頼まれた仕事を引き受ける。最後まで責任を持つ。周囲に迷惑をかけない。期待されたことには応える。どれも、それ自体は悪いことではありません。

しかし、それが続いて「自分が無理をすればなんとかなる」という働き方になっているとしたら、一度立ち止まってみてもよいかもしれません。

「自分でやった方が早い」の裏側にあるもの

人に頼れない方から、「人に説明するくらいなら、自分でやった方が早いんです」という話を聞くことがあります。

実際、その通りの場合もあります。仕事に慣れている人や能力の高い人ほど、自分でやった方が短時間で終わることもあるでしょう。

ただ、この考え方がいつも続くと、次のような循環ができていきます。

自分でやる
→仕事が集まる
→職場でその業務ができる人が自分しかいなくなる
→さらに忙しくなる
→人に説明する余裕がなくなる
→ますます自分でやる

最初は「効率がいいから」自分でやっていたはずなのに、いつの間にか自分しかできない仕事が増えていくことがあります。

忙しいのに「大丈夫です」と答えてしまう

本当は余裕がない。疲れている。これ以上仕事が増えると苦しい。それでも、「これお願いしてもいい?」と聞かれると、「大丈夫です」と答えてしまう。なぜでしょうか。

そこには、人によってさまざまな思いがあります。

あるいは、「助けを求める」という選択肢そのものが、なかなか思い浮かばないという方もいます。

この場合、「断り方を覚えれば解決する」とは限りません。大切なのは、その人がなぜ断れないのか、なぜ頼れないのかを理解することです。

「人に頼れない」は性格だけの問題ではありません

人に頼ることが苦手な背景には、これまでの経験が影響していることもあります。たとえば、次のような考え方です。

こうした考え方は、これまでの人生で自分を支えてくれたものでもあります。だから、単純に「もっと人を頼ればいい」と言われても、簡単には変わりません。

頭では「頼った方がいい」と分かっている。それでも、実際に頼ろうとすると不安になったり、申し訳なくなったりする。ここに、分かっているけれどできない難しさがあります。

頼れない人ほど、限界が周囲から見えにくい

もう一つ注意したいことがあります。人に頼れず抱え込みやすい人は、周囲から見ると「ちゃんと仕事をしている人」「責任感のある人」「任せても大丈夫な人」に見えていることがあります。

本人も、「まだ働けているから大丈夫」と思っているかもしれません。しかし、次のような変化はないでしょうか。

こうした変化が出ているなら、「仕事ができているか」だけで自分の余裕を判断しないことも大切です。仕事をこなせていることと、無理なく働けていることは、同じではありません。

頑張りすぎは、ある日突然始まるわけではありません

限界になったとき、「どうしてこんなことになったんだろう」と思うことがあります。しかし振り返ってみると、その前から小さなサインが続いていることがあります。

頼まれる → 断れない → 自分で抱える
→ 仕事が増える → 疲れる
→ それでも人に頼れない
→ 休むことにも罪悪感がある
→ さらに頑張る → 限界になる

というような循環です。だからこそ、調子を大きく崩してからだけではなく、「最近ちょっと抱え込みすぎているかもしれない」くらいの段階で、自分のパターンを振り返ることにも意味があります。

「人に頼れるようになる」ことだけがゴールではありません

では、どうすればいいのでしょうか。必ずしも「何でも人に頼れる人になりましょう」ということではありません。自分でやることが得意なら、それも大切な強みです。

目指したいのは、自分でやるか、人に頼るかを、そのときの状況に合わせて選べること。そのためには、まず自分のパターンを知るところから始めます。たとえば、次のようなことです。

こうしたことを整理していくと、「私は人に頼れない性格だから」だけでは説明できなかった、自分なりのパターンが見えてくることがあります。

休職や復職を経験した方にも

休職した方の中には、「次は無理をしないようにします」「頑張りすぎないようにします」と考えて復職する方もいます。ところが仕事に戻ると、次のようなことが起こります。

そして気づくと、以前と同じ働き方に戻っている。ということがあります。これは、本人の意思が弱いからではありません。休職前から続いていた働き方や人との関わり方のパターンが、そのまま残っている可能性があります。

復職するときには、体調が回復しているかだけではなく、「仕事に戻ったとき、自分はまた何をやりそうか」まで振り返っておくことが、働き続けるための準備になります。

一人で整理するのが難しいときは

人に頼れない方ほど、「これくらいで相談していいのかな」と思うかもしれません。しかし、カウンセリングは大きく調子を崩してからだけ利用するものではありません。

こうした段階で、自分の働き方や考え方、人との関わり方を整理するために利用することもできます。

sasafuneカウンセリングルームでは、目の前の困りごとだけでなく、「なぜいつも同じところで苦しくなるのか」という繰り返すパターンも一緒に整理していきます。

無理に性格を変えることが目的ではありません。これまで自分を支えてきた「頑張る力」を大切にしながら、選択肢を少しずつ増やしていくことを目指します。

「まだ相談するほどではない」と感じているときも含めて、自分の働き方を一度整理してみたい方は、ご相談ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。自分や他者を傷つけるおそれがあるなど、今すぐ安全を保つことが難しい場合は、119番や地域の救急医療機関へ連絡してください。緊急性はないものの「死にたい」「消えたい」という気持ちがある場合には、厚生労働省「まもろうよ こころ」で電話・SNSなどの相談先を確認できます。
笹森 千佳歩 公認心理師・臨床心理士

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