休職からの復職が近づいてくると、仕事そのものとは別の不安が出てくることがあります。
- 「職場の人に、どう思われるだろう」
- 「休んでいたことを申し訳なく感じる」
- 「久しぶりに会ったとき、なんて言えばいいんだろう」
- 「病気のことを聞かれたら、どこまで話せばいい?」
仕事ができるかどうかよりも、職場の人と顔を合わせることの方が怖いという方もいます。休職中は職場から離れて過ごせますが、復職すると、上司や同僚との関係も再び始まります。
今回は、復職するときに感じやすい「周囲の目」への不安と、病気や休職についてどこまで伝えるかという自己開示について考えてみます。
なぜ、職場の人に会うのが怖くなるのか
復職前には、
- 「迷惑をかけてしまった」
- 「自分が休んでいる間、誰かが仕事をしてくれていた」
- 「弱い人だと思われているかもしれない」
- 「また休むと思われているかもしれない」
と考えることがあります。実際に相手がそう思っているかどうかとは別に、休職した本人の中に申し訳なさ、恥ずかしさ、後ろめたさが生まれることがあります。
すると、「みんな、自分のことをどう思っているんだろう」と、相手の表情や言葉が気になりやすくなります。久しぶりに職場へ行くだけでも緊張するのに、そのうえ「自分がどう見られているか」まで考え続ければ、疲れてしまうのも不思議ではありません。
「迷惑をかけたから、ちゃんと説明しないと」と思ってしまう
申し訳なさが強いほど、「きちんと事情を説明しないといけない」と思うことがあります。もちろん、自分から話したいのであれば話して構いません。
ただ、申し訳なさと自己開示は分けて考えてもよいと思います。休職したからといって、職場のすべての人に、自分の病名や治療内容、休職に至った経緯まで説明しなければならないわけではありません。
あなたのプライベートな情報は同じではありません。
「休んで迷惑をかけた」という気持ちから、必要以上に自分のことを話してしまうこともあります。だからこそ復職前に、「何を話すか」だけではなく、「なぜそれを話そうとしているのか」を一度考えてみることが役立ちます。
病気のことは、どこまで話せばいい?
自己開示には、「する・しない」だけではなく深さがあります。たとえば、同じ休職について話す場合でも、
- 「体調を崩して休職していました」
- 「メンタルヘルスの不調で休職していました」
- 「うつ病と診断されて治療していました」
という伝え方があります。さらに、症状や休職に至った出来事まで詳しく話すこともできます。どこまで話すかに、一つの正解があるわけではありません。
考えるときには、次の3つに分けてみると整理しやすくなります。
- ①誰に伝えるのか
- ②何を伝えるのか
- ③何のために伝えるのか
「誰に伝えるか」で自己開示の深さを変えていい
上司、人事担当者、産業医、親しい同僚、普段あまり関わらない同僚。相手によって、必要な情報は違います。
たとえば、復職後の勤務時間や業務上の配慮を相談する相手には、仕事をするうえで必要な情報を共有する意味があります。
一方で、久しぶりに会った同僚から、「大丈夫だった?」と聞かれたときまで、同じ深さで説明する必要はありません。「ありがとうございます。今はだいぶ落ち着いています」くらいで終えても構いません。
これは復職時の自己開示を考えるうえで、
大切な視点です。
「病名」よりも「働くために必要なこと」を伝える
復職時のコミュニケーションでは、病名を詳しく説明すること以上に、「どうすれば働きやすいのか」を共有する方が役立つことがあります。たとえば、
- 「しばらく残業を控えたい」
- 「業務量について定期的に相談したい」
- 「複数の仕事が重なると負荷が高くなりやすい」
- 「調子が落ちたときには早めに相談したい」
といった内容です。これは、病気についての自己開示ではなく、働き方についてのコミュニケーションとも考えられます。自分のプライベートな情報をどこまで伝えるかと、仕事を続けるために必要な調整を伝えることは、分けて考えることができます。
聞かれたくないことを聞かれたら?
復職すると、
- 「何の病気だったの?」
- 「もう大丈夫なの?」
- 「どうして休んでいたの?」
など、答えにくい質問をされる可能性もあります。そんなときのために、あらかじめ自分なりの返答を準備しておく方法があります。たとえば、
- 「少し体調を崩していました。今は復職できるくらいまで回復しています」
- 「お気遣いありがとうございます。詳しいことはあまり話していないんです」
- 「まだ様子を見ながらなので、無理せずやっていこうと思っています」
詳しく説明しないことは、相手を拒絶することとは違います。どこまで話すかを自分で決めることも、人との境界線をつくる一つの方法です。
「申し訳ありません」だけで復職を始めなくてもいい
復職初日、「長い間ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありませんでした」と伝えたくなる方もいるでしょう。もちろん、それが自分の気持ちに合っているなら問題ありません。
ただ、復職後ずっと「迷惑をかけた側」として働き始める必要はありません。「ご迷惑をおかけしました」に加えて、「お休みをいただきありがとうございました。今日からまたよろしくお願いします」という言葉もあります。謝罪だけではなく、感謝とこれからの関係に言葉を向けることもできます。
説明し続けるための日ではありません。
これからもう一度、職場との関係を
つくっていくスタートでもあります。
申し訳なさという気持ちそのものが、悪いわけではありません。ただ、それを持ち続けることが、いつの間にか自分を責め続けることにつながってしまう場合もあります。
実際に復職を経験した方の中には、「申し訳なさが全くないわけではないけれど、あえて持たないようにしている」と話す方もいます。感じないようにする、というよりも、その気持ちが自分を苦しめる可能性を理解したうえで、あえて手放しておく、という選択です。
自己開示は「話した方がいい/話さない方がいい」ではない
病気について話したことで、「実は自分も休職したことがあるよ」と言われ、安心することもあります。周囲が事情を知っていることで、働きやすくなることもあるでしょう。
一方で、一度話した情報を「やっぱり知らなかったことにしてほしい」とするのは難しい面もあります。
だからこそ、「自己開示した方がいいのか?」ではなく、
自分にとってどんな意味があるだろう?
と考えてみます。話すことにも、話さないことにも意味があります。そして、その範囲を自分で選んで構いません。
復職前に「人に会う練習」をしておく
復職準備というと、睡眠や生活リズム、体力などに目が向きやすいですが、対人関係も復職準備の一つです。
- 「上司には何を伝えるか」
- 「同僚に聞かれたらどう答えるか」
- 「病名についてはどこまで話すか」
- 「休職について触れられたくない場合はどう伝えるか」
こうした場面をあらかじめ想像し、自分なりの言葉を用意しておくだけでも、復職初日の負担を少し減らせることがあります。カウンセリングで実際の場面を想定しながら、一緒に言葉を考えてみる方法もあります。
sasafuneでは
復職前には、「働けるか」という問題だけでなく、
- 「職場の人にどう思われるだろう」
- 「休職についてどう説明したらいいんだろう」
- 「病気のことをどこまで話せばいい?」
といった、人との関係についての不安も出てきます。sasafuneでは、復職そのものだけでなく、復職後にどのように人と関わり、どのように働いていくかについても一緒に整理していきます。
話すこと。話さないこと。誰に話すか。どこまで話すか。一つの正解を決めるのではなく、その人にとって無理のない距離を一緒に探していきます。